人手不足が深刻な昨今、外国人材を採用・定着させることは多くの企業にとって有力な選択肢となっています。しかし、外国人材を迎え入れるには、日本語対応、異文化理解、生活支援など追加的コストや手間がかかることが少なくありません。
そこで助けになるのが、国や自治体が提供する「助成金・補助金制度」です。これらを活用すれば、外国人採用や受け入れ環境整備にかかる負担を軽減しつつ、より安心して長く働いてもらえる体制づくりが可能になります。
以下では、外国人材の雇用・定着支援に関連する代表的な助成金・補助金制度と、それらを企業が実際に活用するためのポイントを紹介します。
主な助成金・補助金制度
1. 人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
この助成金は、外国人労働者が職場に定着しやすいよう、就労環境を整備する事業主に対して支給されるものです。通訳や翻訳、相談窓口設置、多言語対応の就業規則策定など、外国人特有の事情に配慮した環境整備が対象になります。
支給額は、賃金要件を満たす場合には対象経費の2/3(上限72万円)、賃金要件を満たさない場合でも**対象経費の1/2(上限57万円)**とされています。
ただし支給を受けるには、認定を受けた就労環境整備計画に基づき整備を実施し、整備後の一定期間で離職率などの条件を満たす必要があります。
この制度を活用することで、少なくとも通訳・翻訳やマニュアル多言語化、相談窓口設置などの取り組みに対する補助を受けられ、企業側の初期コストを抑えつつ外国人材受け入れ体制を強化できます。
2. キャリアアップ助成金(正社員化コース・処遇改善等)
キャリアアップ助成金は、主に非正規雇用の労働者を正社員化する、賃金を改善する、待遇を改善するなどの取り組みに対して支給される助成金で、外国人労働者も対象になり得ます。
外国人労働者を雇用している企業が、正社員化や処遇改善を行えば、助成金を受け取ることが可能となります。たとえば、有期契約社員を正社員に転換する場合などが該当ケースとして挙げられます。
ただし、助成金対象とするには社内規程整備やキャリアアップ計画の策定など事前準備が必要になることが多く、外国人材を対象とする際の在留資格や契約形態なども確認する必要があります。
3. 人材開発支援助成金(人材育成支援コース)
この助成金は、事業主が従業員に対して業務に関連した知識・技能を習得するための訓練を行った場合に、その訓練経費や賃金の一部を助成する制度です。外国人労働者が対象訓練に参加する際も、条件を満たせば対象となります。
具体的には、外部研修(OFF-JT)や資格取得、技能向上を目的としたプログラムが対象となることが多く、経費の助成率や賃金助成単価が規定されています。
この制度を使えば、外国人材に対して技能研修を提供しやすくなり、採用後のスキル底上げにつなげられます。
4. トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)
トライアル雇用助成金は、正社員化を前提におらず、経験が浅い求職者を一定期間試用雇用する際に助成される制度です。外国人労働者でも対象となるケースがあります。
一般トライアルコースでは、1人あたり月額で上限数万円(例:4~5万円程度)を、最長3か月までの期間で受給できる制度が一般的です。
この制度を使えば、外国人候補者を一定期間お試しで雇い、実際の職場との適性を確認しながら本採用するという方法が取りやすくなります。
制度を使う際の注意点と実務ポイント
- 要件理解と適格性確認
助成金制度には細かい要件(在留資格、雇用保険適用、離職率条件、事業規模など)が定められており、これを満たさないと支給対象にならないことがあります。 - 事前計画と書類準備
多くの制度では事前認定や支援計画の提出が必要です。無計画に整備を始めるより、まず制度要件を確認し、申請可能性を見極めてから進めるべきです. - 助成対象経費の範囲確認
通訳・翻訳、相談窓口設置、マニュアル多言語化、研修実施などが対象となることが多いですが、制度ごとに除外される経費もあります。 - 実績報告・離職率要件
助成金は支給後になって実績を報告し、定められた離職率などの条件を満たすことが求められます。支給要件を満たさなければ助成金の返還を求められる可能性もあります。 - 制度の変更や予算枠問題
助成金制度は予算や運用の見直しが行われることがあり、年度途中で締め切られるケースもあります。常に最新情報をチェックする必要があります。
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