特定技能「介護」とは、介護分野の人手不足に対応するため2019年4月に創設された在留資格です。一定の技能と日本語能力を試験で確認された外国人が、介護施設で身体介護を含む業務に従事できます。受け入れには、事業所が「介護分野における特定技能協議会」へ加入することなどが義務づけられています(出入国在留管理庁「介護分野」・2025年4月21日時点の公式運用方針による)。
本記事では、介護施設の経営者・採用ご担当者に向けて、制度の全体像・受け入れ要件・できる業務・人数枠・注意点を、公的一次情報に基づいて整理します。
特定技能「介護」とは何か(制度の位置づけ)
結論として、特定技能「介護」は「即戦力となる外国人材を、人手不足の介護現場で受け入れるための在留資格」です。技能実習が「国際貢献・技能移転」を目的とするのに対し、特定技能は労働力の確保そのものを正面から認めた制度である点が本質的な違いです。
背景にあるのは構造的な人手不足です。厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」(2024年7月12日公表)によれば、必要な介護職員数は2026年度に約240万人(2022年度=約215万人比で約25万人増が必要)、2040年度には約272万人(同比約57万人増)と推計されています。こうした不足を補う選択肢の一つが特定技能「介護」です。
在留資格「特定技能」は平成31年(2019年)4月1日に施行されました(厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」)。介護分野は特定技能1号の対象14分野(制度発足時)の一つで、5年間の受入れ見込数は最大135,000人と設定されています(出入国在留管理庁「介護分野」ページ・2025年4月21日時点)。
「介護現場の採用ご相談で最も多い誤解が『技能実習と同じ感覚で考えてしまう』ことです。特定技能は配置基準への算入や業務範囲の扱いが異なり、受け入れ前の制度理解が定着率を大きく左右します。」
― GiversNetwork 登録支援機関 在留資格支援担当
外国人本人に求められる要件(技能・日本語)
結論として、本人要件は「介護技能の確認」と「日本語能力の確認」の2軸です。出入国在留管理庁・厚生労働省の公式情報に基づくと、次のいずれかを満たす必要があります。
技能水準
- 介護技能評価試験に合格していること
- または、介護職種の技能実習2号を良好に修了していること(この場合は技能・日本語試験が免除されます)
- 介護福祉士養成施設修了者、EPA介護福祉士候補者として一定期間従事した者なども対象となるルートがあります
日本語能力
次の組み合わせのいずれかが必要です(厚生労働省公式情報による)。
- 国際交流基金日本語基礎テスト + 介護日本語評価試験 に合格
- 日本語能力試験(JLPT)N4以上 + 介護日本語評価試験 に合格
介護分野は利用者とのコミュニケーションが安全に直結するため、他分野にはない介護日本語評価試験が追加で課されている点が特徴です。
受け入れ施設(事業所)側の要件
結論として、施設側には「対象施設であること」「協議会への加入」「人数枠の遵守」「支援体制の確保」という4つの柱があります。
| 要件 | 内容 | 根拠(一次情報) |
|---|---|---|
| 対象施設 | 介護等の業務を行う対象施設に該当すること(訪問系サービスは対象外などの区分あり。詳細は厚労省PDFで要確認) | 厚生労働省 公式ページ |
| 協議会加入 | 「介護分野における特定技能協議会」の構成員となり、入会証明書の発行を受けること(令和6年6月15日以降の地方出入国在留管理局への在留諸申請から適用) | 厚生労働省 公式ページ |
| 人数枠 | 受け入れ人数は「日本人等の常勤介護職員の総数」を上限とする | 出入国在留管理庁「介護分野」 |
| 支援体制 | 1号特定技能外国人支援計画に基づく生活面を含む各種支援の実施(登録支援機関への委託も可) | 出入国在留管理庁 制度運用方針 |
とりわけ「常勤介護職員の総数を上限」とする人数枠は、施設規模によって受け入れ可能人数が変わるため、採用計画の初期段階で必ず確認すべき項目です。
<現場の声>当機関が外国人介護スタッフに行ったインタビューでは、来日の理由として「介護の仕事に興味があり、母国でもホームケアで働いた経験がある」「高齢者の世話をしたい」といった声が聞かれました。制度要件の確認と並行して、こうした本人の動機や経験を踏まえた受け入れ計画が、定着の土台になります(本人の声の詳細は導入事例記事「外国人介護士8人に聞いた来日の理由と定着のリアル」を参照)。
特定技能「介護」でできる業務・できない業務
結論として、業務範囲は「身体介護等とこれに付随する支援業務」です。出入国在留管理庁の公式記載では、特定技能「介護」の業務は次のように定義されています。
- 従事できる業務:利用者の心身の状況に応じた入浴・食事・排せつの介助等の身体介護、およびこれに付随する支援業務(レクリエーション、機能訓練の補助等)
- 留意点:訪問系サービスの取扱いなど、サービス種別ごとに制度上の区分があるため、自施設のサービス類型での可否は事前確認が必要です
なお、配置基準上の算定の扱いは制度・通知の改正で取り扱いが変わってきた経緯があるため、最新の厚生労働省通知で確認することを強く推奨します。本記事では断定を避け、確認すべき項目として明示します。
受け入れの流れ(概要)
- 採用計画の策定(人数枠・対象施設該当性の確認)
- 人材紹介・マッチング、雇用条件の調整
- 支援体制の準備(自社支援または登録支援機関への委託)
- 協議会への加入手続き、入会証明書の取得
- 地方出入国在留管理局への在留諸申請
- 入国・受け入れ、支援計画に基づく生活・就労支援の実施
各ステップは制度要件と前後関係があり、特に「協議会加入」「支援計画」は申請の前提となるため、初動の設計が重要です。
メリットと留意点
| メリット | 留意点 |
|---|---|
| 試験で技能・日本語が確認された即戦力を採用できる | 協議会加入・支援計画など制度上の手続き負担がある |
| 長期就労・キャリア形成(介護福祉士資格の取得により在留資格「介護」へ移行しうる)につながりうる | 人数枠(常勤職員数上限)により規模に応じた計画が必要 |
| 登録支援機関へ支援を委託すれば現場負担を抑えられる | 支援機関の質によって定着率に差が出る |
よくある質問
Q. 特定技能「介護」と技能実習はどちらを選ぶべきですか?
A. 目的が異なります。即戦力としての労働力確保なら特定技能、段階的な育成を重視するなら技能実習が検討対象です。詳細は別記事「技能実習と特定技能の違い」で比較しています。
Q. 受け入れに必ず登録支援機関は必要ですか?
A. 支援を自社で実施できる体制があれば必須ではありませんが、生活支援を含む支援計画の確実な履行のため、多くの施設が登録支援機関へ委託しています。
Q. 受け入れ人数に上限はありますか?
A. はい。介護分野は「日本人等の常勤介護職員の総数」を上限とする人数枠があります(出入国在留管理庁)。
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※本記事は2026年5月19日時点で、出入国在留管理庁「介護分野」ページ(2025年4月21日時点)および厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」を確認して作成しています。制度・要件は法令改正により変更される場合があります。実際の受け入れ判断は、最新の公的情報および専門家への確認のうえで行ってください。
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