【現場の声】外国人介護士8人に聞いた『来日の理由』と『定着のリアル』|施設が知るべきこと

外国人介護士の受け入れは「制度の話」だけでは語れません。本記事は、当機関が実際に8名の外国人介護スタッフへ行ったインタビューの生の回答をもとに、来日の理由・大変だったこと・乗り越え方・目標を、本人たちの言葉でお伝えします。施設の経営者・採用ご担当者が、外国人介護士の定着を実現する受け入れを設計するための一次情報としてご活用ください。

※プライバシー保護のため、お名前は出さず属性(イニシャル等)で記載しています。回答はインタビュー時点のもので、個々の状況を一般化したものではありません。

結論:来日理由は多様、最初の壁は「言葉」が最多

先に、8名の回答から見えた事実を述べます。来日の動機は「介護の仕事への関心」「日本の生活・文化への憧れ」「給与・在留資格」「友人の存在」など多様でした。一方で「最初に大変だったこと」では、日本語・会話・コミュニケーションを挙げた方が4名と最も多く、次いで生活面(物価・天気や通勤)が挙がりました(介護経験者の中には「大変ではなかった」という声もありました)。回答に幅はあるものの、受け入れ側が言語・生活面の支援を設計することが、定着の壁を下げる現実的な打ち手といえます。

「採用前に施設様へお伝えしているのは『最初のつまずきは能力ではなく言葉や生活面に出やすい』ということです。今回の8名でも、最初の壁として言語を挙げた方が最も多くいました。言語と生活の支援を仕組みにできるかが、定着の分岐点です。」

― GiversNetwork 登録支援機関 受け入れ支援担当

1. なぜ日本で介護の仕事を選んだのか(来日の理由)

動機は一様ではありません。本人たちの回答を、趣旨を変えずに紹介します。

  • Iさん:「介護の仕事に興味があった。日本の生活が好きで、アニメを見て憧れた。母国でもホームケアで働いたことがある」
  • Eさん:「高齢者の世話をしたい。母国に帰って経験を活かしたい」
  • Sさん(ミャンマー出身):「日本では介護で家族のように接するのが良い。ミャンマーでもそのように仕事がしたい」
  • Jさん:「友達が日本で介護の仕事をしていたから日本に来た」
  • Suさん:「大学で日本語の勉強をしたので日本を選んだ。年配の方と話して楽しかった」
  • Cさん:「日本は介護の仕事が多いので」
  • Mさん:「休みが取りやすいイメージがあったので」
  • Wさん:「介護は他の仕事に比べて残業が少なく給与も高いと思った。介護福祉士の在留資格で日本に居られる」

採用広報の観点では、「キャリア志向」「日本文化への関心」「待遇・在留資格」「人のつながり」と動機が分かれることを踏まえ、施設の魅力を多面的に伝えることが有効です。

2. 最初に大変だったこと(共通する壁)

ここが最も重要です。本人たちが挙げた「最初に大変だったこと」は次のとおりで、言語・コミュニケーションを挙げた方が最も多く、生活面(物価・天気や通勤)がそれに続きました。

本人 最初に大変だったこと(回答そのまま)
Iさん 日本に来た時、会話や説明を聞いても理解できなくて大変だった
Jさん 会話。来日前に勉強したけれど難しい。仕事より大変
Suさん 日本語が大変だった
Mさん コミュニケーション
Eさん コロナ(時期的な事情)
Cさん 天気・通勤環境(暑さ・雨・風、自転車通勤)
Wさん 物価が高かった
Sさん 「大変ではなかった」(介護経験者)

言語・会話を挙げた方が4名と最も多く、生活コスト・通勤・気候など生活面の課題を挙げた方も3名いました(介護経験者には「大変ではなかった」という声も)。いずれも支援計画の生活オリエンテーションや住居支援、職場での言語サポートでカバーできる領域です。

3. どう乗り越えたか(定着のヒント)

「乗り越え方」の回答には、施設側が再現できる示唆があります。

  • Iさん:「本やインターネットで勉強している」(自助+学習機会の提供が有効)
  • Eさん:「留学生だったので先生に頼った」(相談できる人の存在が鍵)
  • Sさん:「先輩にお店での買い物の仕方などを教えてもらった」(生活面の同行支援)
  • Suさん:「分からない言葉を人に聞き、簡単に説明してもらって理解してから自分で使う」(職場での説明の工夫)
  • Mさん:「日本語を勉強し、日本人とよく話した」(交流機会の設計)

共通するのは「聞ける人・教えてくれる人がいる環境」です。これは登録支援機関の義務的支援(相談対応・日本語学習機会・公的手続同行)と現場のメンター体制で仕組み化できます。

4. 印象に残っている言葉・嬉しかったこと

定着は「やりがい」とも結びついています。本人たちの言葉です。

  • Cさん:「利用者さんに『大好き』と言われた」
  • Sさん:「利用者さんの布団が見つからず、見つけてあげたらご家族から感謝された」
  • Suさん:「前の職場を辞めるとき、皆が手紙を書いてくれたのが嬉しかった」「『優しいですね』とよく言われる」
  • Wさん:「よく暴れる利用者さんが、自分のときは暴れなくなる」
  • Eさん:「利用者さんと冗談を言って話すこと」
  • Iさん:「先輩たちが知らないことを教えてくれて優しい」

利用者・家族・同僚からの承認が、本人のモチベーションと定着につながっていることが読み取れます。

5. これからの目標(長期定着の可能性)

多くが具体的なキャリア目標を持っていました。

  • Iさん:「介護福祉士になりたい」
  • Suさん:「優しい介護福祉士になりたい」
  • Sさん:「外国人の中でリーダーのような介護士になりたい」
  • Cさん:「皆と仲が良い介護士になりたい」
  • Wさん:「利用者さんに頼られる介護士になりたい」

「介護福祉士になりたい」という声が複数あった点は重要です。資格取得支援を施設のキャリアパスとして提示できれば、長期就労につながる可能性があります。

この一次情報から施設が学べること

  1. 言語支援を最優先で仕組み化する(学習機会、説明の工夫、聞ける相手)
  2. 生活面の支援を軽視しない(物価・通勤・買い物など日常のつまずき)
  3. 承認の機会をつくる(利用者・家族・同僚からの「ありがとう」が定着を支える)
  4. キャリアパス(介護福祉士取得支援)を提示する(本人の目標と施設の長期戦力が一致する)

背景として、厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」(2024年7月12日公表)では、必要な介護職員数が2026年度に約240万人(2022年度比+約25万人)と推計されており、人材確保と定着は構造的な経営課題です。本人の声に基づく定着設計は、その現実的な打ち手の一つといえます。

メリットと留意点

メリット 留意点
本人たちは明確なキャリア目標を持ち長期就労の意欲がある 言語の壁が定着初期の最大課題(支援設計が前提)
利用者・家族からの信頼を得ている声が多い 個々の回答であり全員に一般化はできない
生活支援・学習支援で初期離職リスクを下げられる 支援を仕組みにできるかが施設側の課題

よくある質問

Q. このインタビューは実在の方の声ですか?
A. はい。当機関が実施した外国人介護士8名への実インタビュー回答に基づきます。プライバシー保護のため実名は出さず属性で記載しています。

Q. 外国人介護士が最初につまずくことは何ですか?
A. 今回の8名では、日本語・会話・コミュニケーションが最も多く挙がりました。生活面(物価・通勤等)の課題も見られました。

Q. 定着のために施設が最初にすべきことは?
A. 言語と生活の支援を仕組み化すること、相談できる相手(メンター・支援機関)を用意することです。

※本記事の本人コメントは、当機関が実施した外国人介護士8名への実インタビュー回答(一次資料)に基づきます。プライバシー保護のため実名は記載せず属性で表記しています。回答はインタビュー時点の個人の声であり、すべての外国人介護士に一般化できるものではありません。施設長・採用担当者のコメントは現時点で素材が提供されていないため記載していません。制度の前提は2026年5月19日時点で出入国在留管理庁・厚生労働省の公式情報を確認しています。

運営:GiversNetwork(特定技能「介護」分野 登録支援機関)
介護分野に特化した特定技能外国人材の人材紹介および登録支援機関として、本人インタビューを含む現場の声をもとに受け入れ・定着支援を行っています。

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